2008年2月29日金曜日

日本とメジャーの違い 球数制限

日本で今、先発、リリーフともに
球数制限を敷いているのは、広島東洋のブラウン監督くらいだろう。

日本にやってくるアメリカ人の監督たちは
中4日ローテ、球数制限、強行策(否バント)を就任当初は取ろうとするが、
いずれも日本式になっていく。

中6日ローテ、球数も制限して120球前後、バントもするようになる。

これは先に触れたとうり、
日本とアメリカのアマチュア時代の打者育成方法が根本的に違うためであり
打者の意識が大変革を起こさない限り
投手の起用方法をメジャー式にすると、自軍にとって不利になりやすい。

それでも、以前に比べればまだ攻撃的になってはきているとは思う。
一発長打のある1番打者、小技の効く選手よりも攻撃的な2番などわずかではあるが、
そういったチームも出てきている。

では、本当に球数制限は、採用不可なのだろうか?
中4日ローテは無理なのだろうか?

先の中4日ローテ編で、日本では難しいと記したが本音はできると思っている。
監督、投手コーチ、先発投手の意識改革ができればである。
どのような意識改革か?

まず監督、投手コーチの意識改革である。
いまだ、日本では先発、完投できる投手を最重要としている。
これは、もう過去の話である。
現に、高校野球ですら2人投手制を謳い、継投戦術をとっている。
大学、社会人もしかりである。完投できる投手など、もうほとんどいないのだ。

現に北海道日本ハムのエース、ダルビッシュ投手や
広島東洋にいた黒田投手でも完投数は年間1ケタだ。
30試合前後の登板数があってもである。

また、選手側の意識改革でいえば、
先発投手のみの特権がある球団が多いことだ。
登板日翌日のいわゆる『上がり』である。
登板日の翌日は、ベンチにも入らず休養ということだ。
中6日、1週間に一度の登板なのにである。

それに比べて、ブルペンスタッフは毎日常勤だ。ほぼ全試合ベンチに控えている。
それなのに、中6日、1週間に1度の登板で
3、4回前後、ひどければそこまでも持たずに降板する先発ローテの投手はいったい何なのだ。

ブルペンスタッフはそんな時にしわ寄せが行く。
だから、年間20試合もメジャーより少ないのに
80試合登板とか、90試合登板などの常識外れの起用方法になる。

これで、故障するななどと言えるのか?
選手生命、投手生命のことは考えないのか?
自分が監督の時期だけで、使いきってしまっていいのか?

その割りに、年俸などの待遇でもリリーフ陣は評価が低い。
とくに、セットアップ、中押さえのポジションは特にだ。

先発投手は10勝を上げれば、もう高評価だ。
しかし30試合前後の年間登板数の1/3ではないか。
毎日のように登板して、1イニングやアウト1つ、2つを取っている
リリーフ陣の割合と比べてどうなのか?
リリーフ陣は1、2回続けて打たれようものなら大騒ぎをされる。
首脳陣、マスコミ、ファンにもだ。

中6日なら120球、中4日なら100球は投げさせるべきなのだ。
その試合を作れずに、壊したとしてもだ。
それが先発投手としての最低義務の責任だろう。

少年時代には40球程度、中学で60球、高校、大学で80球という
アメリカの投手の球数制限がいいとは言わない。
しかし、球数制限は投手のためにあったほうがいい。

選手は球界の共通の財産である。特に投手は。
それを長くプレーさせるのも監督、コーチ陣の役目ではないか。

『自分のときはな。。。』などと、のたまわるコーチはいらない。
トレーニング、コンディショニング、
クールダウンなどボディケアの技術指導は日進月歩しているのだ。

パ・リーグなどDH制なのだから、球数制限は、すぐにでもできるはずだ。
もちろんセ・リーグもダブル・スイッチなど
監督、コーチ陣が頭を使えば、球数制限はできるはずだ。

2008年2月28日木曜日

日本とメジャーの違い 打撃論と精神論

日本野球の1、2軍との格差が大きくならなければ
負け試合、敗戦処理用の投手と勝ち試合用の投手と分けなければ
日本野球の待球することを美徳とする意識が変わらなければ
日本に完全中4日ローテーションは採用できない。

また、ブルペンスタッフの登板過多が起きやすく優秀なリリーバーほど、
酷使されて選手生命が短命になりやすい。

この点は球数制限とも密接にかかわっているし、
アマチュア時代の打撃練習の方法にもつながっている。

特にこれは、日本とアメリカの人間的な根本的違いになるのだが、
アメリカは、他の人との違いを前面に出し、自己表現、個性を尊重する。
対して、日本は全体の和を尊重し、自己犠牲を美徳とする。

野球では、中学、高校時代にアメリカでは、
いわゆるロングティーと呼ばれる練習方法がよく用いられる。
これは、ホームベース上にゴルフのティーアップのようにボールを置き、
これをフルスイングして、パワーを求めるものだ。
もちろん、的確にボールを捉えることは言うまでもない。

対して、日本ではトス・バッティングやショート・ティーをまず、重要視する。
トスでは、キチンと投げ手にワンバウンドで帰すことが
ショートティーでは、キチンと真正面に打ち帰すことを基本として求められる。

これが、日本とアメリカの打撃スタイルの根本的な違いだ。
的確に球を捉えるのは同じだが、
フル・スイングで遠くへ飛ばすことを求めるアメリカ風。
狙ったところに打ち返すべく当てに行く日本風。

何でも、型にはめたがる日本とそうでなく、個性を尊重するアメリカ。

どちらが正しいかは、誰にも決められまい。
しかし、アマチュア野球経験者からすると、
特に、個性よりも、画一的、自己犠牲を強いる高校野球は楽しんで練習、試合をした覚えはない。

楽しむ事を優先して、個性をトコトン伸ばすやり方にあこがれる。
長所よりも、欠点を矯正しようとあれこれ意見し、フォームをいじりたがる日本野球よりも。

『楽しんで勝とうぜ!』と『練習どうりやれば勝てる!』では心のゆとりが違うというものだ。
特に心と身体が成人になりきっていない高校野球は。
高校野球で終盤に同点で延長戦にもつれ込む試合や逆転サヨナラなどのケース、
力は五分なのに、ひとつのプレーがキッカケで
大量失点、大量得点になるケースなどはその典型である。

精神的に子供なのである。身体は大きくても。
だから、ひとつのキッカケで大きく動揺もするし
大きくイケイケの空気になってしまうのだ。

これは『練習どうりにできなかった』と思うところから始まる。
『楽しんで、勝とうぜ!』だと結果は全く違うと思うのだ。

小さい頃から、このような環境に置かれれば
規格外のスーパースターなど、出てくる訳がない。
また、才能に溢れる素材でプロ入りしながらわずか数年で萎んでしまい、
引退する選手もほとんどが精神的な部分に起因すると思う。

初球からでも、打てる球なら打つ!。フルスイング!。
チマチマ当てに行ってのファウルなど見たくない。

それが、魅せるということではないのか?

凡人では投げれない球の速さ、バットスイングの早さ。
とてもまねのできない守りや強肩、俊足。それこそ、お金を払って見るプレーではないか。
プロとアマチュアの違いはそこにある。日本とメジャーの違いもそこにある。

2008年2月27日水曜日

日本とメジャーの違い 中4日ローテ

日本とメジャーとの違いは投手起用に異なる点が多い。
中4日登板と球数制限である。

メジャーは自軍投手と相手チームとの相性は全く無視して
完全中4日のローテーションを守る。

日本は対照的に自軍投手と相手チームとの相性を考慮し
ローテーションの飛ばし、変更は多々ある。
そして、6連戦の後に1日休み(移動日)のため
中6日で先発ローテーションを組むのが主流である。

メジャーでは、20連戦など日常茶飯事で
ナイトゲームの翌日がデーゲーム、ダブルヘッダーもシーズン終盤にはある。
休みが少ないために完全中4日のローテーションが成り立っているとも言える。

では、中4日のローテーションは日本に取り入れられるのか?
これは日本の投手、監督始め首脳陣、
ひいては日本野球自体の考えが変わらないと難しいと思う。

一番大きいのは、日本の野球は待球型の選手が多い。
これは、アマチュア時代の指導に起因するもので
初球から簡単に凡打すると、指導者に怒られる。結果は問わずである。

『簡単に打ちにいくな。』『球スジを良く見ろ。』

野球経験者なら、何度となく聞いた言葉であろう。

それに対して、アメリカは逆で

『ストライクなら初球から打て』『自分のツボなら振れ』

と教えられる。
結果、日本の投手の方が1イニングに投げる球数はあたりまえのごとく多くなり、疲弊する。

また湿度の関係で、登板後の疲労度の回復がアメリカと日本では違うと聞く。
さらに、投手起用方法の確立が、日本はできていない。
日本でも、先発、中抑え、抑えとここずいぶん、
分業化が進んではいるがメジャーほどではない。

メジャーでは、まずクローザーを決める。
そして、先発ローテーション5人、スターターを決める。
そして、セットアップと呼ばれる勝ち試合や同点時の中抑え。
モップアップ、ミドルセットアップと呼ばれる負け試合、敗戦処理の要員が見事に分けられる。

メジャーとマイナーの差は知ってのとうり扱いが天と地ほどに違う。
この生存競争の差が、敗戦処理でもなんでもメジャーに残っておき、
結果を残して重要なポジションを任されるように考えている。
メジャーとマイナーの差が選手を腐らせずにモチベーションを上げているのだ。

その点、日本野球は甘い。
給料こそ安くとも選手寮、設備など、待遇は確保されている。
日本野球の1、2軍との格差が大きくならなければ
負け試合、敗戦処理用の投手がブルペンにいなければ
日本野球の待球することを美徳とする意識が変わらなければ
日本に完全中4日ローテーションは採用できない。

また、ブルペンスタッフの登板過多が起きやすく
優秀なリリーバーほど、酷使されて選手生命が短命になりやすい。

この点は球数制限とも密接にかかわっているし、
アマチュア時代の打撃練習の方法にもつながっている。

2008年2月26日火曜日

日本とメジャーの違い バント

日本野球を語る上で欠かせないことがある。バントである。
ここでいうバントとはセーフティを含まずに犠打としての送りバントである。

日本とメジャーとを語るとき。
日本とメジャーの戦術面を比較する時。
野球とベースボールの差を語るとき。

必ず引き合いに出されるのは攻撃面ではバント。
投手面では中4日の完全固定のローテーションと球数制限の2つである。

では、攻撃時のバントは戦術的な面で考えた場合有効なのか?
そうではないのか?積極的なのか?消極的なのか?

ワシの個人的見解でいえば、バントは消極的な戦法に見える。
ヒットエンドランとかランエンドヒットのほうが野球は面白いし、
外野手の強肩ぶりなど見せ場も増える。

よく投手は立ち上がりが一番不安だと言われる。
初回は手探りでゲームに入ると大体の投手が言う。
初回にノーアウトでランナー1塁の場面。初回の先頭打者を塁に出して、
まだ落ち着かない心境の投手に対してどのような戦術に出るのか、
意見の分かれるところであろう。

アウト1個を与えて、走者を2塁に進める。
このアウト1個で投手がとりあえず一息落ち着くのか。
初回早々に得点圏に走者を置き、浮き足立つのか?
どちらが正しいかは決められないがひとついえることがあるのは、
バントを選択して、ノーアウトでランナー2塁においても
1点しか取れない確立が大きいということである。

あくまで記録統計上だが、イニングに限らずに
ノーアウト1塁でバントを選択してワンアウト2塁にした場合の
得点確立は40%をわずかに上回る程度だということだ。

この数字は日本もメジャーもほぼ同じである。

この記録統計上の数字を覆したのが昨年の北海道日本ハム。
なんとノーアウト1塁から、
ワンアウト2塁にバントで送った場合の得点率は60%を超えている。

得点力の不足分を投手陣の力で補った昨年の北海道日本ハム。
少ないチャンスに1点をなんとかして取りあとはひたすら守りきるという戦い方だった。

このような例外はあるが、
バントで走者を進めても60%近くは得点できていないのだから
これは消極的な間違った戦術といえはいないだろうか?
野球を小さくしている気がしてならない。
少なくともプロが初回から取る戦術ではないと思う。

ただ、強力な投手陣を持ちながらも
打線の得点能力が著しく低いチーム編成の場合はこの限りではない。
昨年の北海道日本ハム、中日ドラゴンズなどだ。
この2チームはロースコアでの試合に持ち込めないと勝負にならないために、
初回からバントを多用していた。どちらも儀打数はリーグ1位だ。

日本にしても、メジャーにしても1軍で試合にでるのは、
ほとんどがアマチュア時代にエースや中軸を打っていた選手が多い。
めったにバントなど試合でした事のない選手が
プロでアマチュア投手の比ではない球威、制球の投手と相対して
そうそうバントは出来る者ではない。
事実、大多数の選手は見ているからにバントはヘタクソだ。
であるならば、戦術的にバントよりもエンドランの方を多様するべきではないか。
試合終盤や延長戦でのバントはありだが。

投手陣に絶対の自信を持ち、
ロースコアでの接戦を望むチームでなければ
バントという戦術は消極的で極めて効果が低いように思う。

2008年2月20日水曜日

トリノ王者 プルシェンコ9月復帰へ

2006年のトリノ冬季五輪での金メダル獲得以降、
競技生活から離れていたロシアのエフゲニー・プルシェンコ選手が
今年の9月からトレーニングを開始、
2010年のバンクーバー冬季五輪出場を目指して
2008年~2009年シーズンから競技生活に戻ることになった。

02年のソルトレイク冬季五輪では、
同じロシアのライバル、アレクセイ・ヤグディンにわずか及ばず
銀メダルだったが、4年後のトリノ冬季五輪では
SP、フリー共に他を寄せ付けない完璧な演技で
悲願の五輪金メダルを獲得した。

その重厚感のあるスケート技術と4回転ジャンプ
軽やかなステップ、優雅なスピンと彼の演技はまだ記憶に新しい。

プルシェンコ選手は、
優秀な選手はいるものの、一定のレベルからぬけだせず
自分の後継者と呼べる存在が育っていない
現在のロシア男子のフィギュアを憂いており、
『ロシアには金メダルが必要だ。私をロシアが必要としている。』
とコメントしているそうだ。

確かに、トリノ五輪の2006年シーズン以降、
男子フィギュアは、スイスのステファン・ランビエール選手
アメリカのエバン・ライザチェック選手と日本の高橋大輔選手で
主要な世界大会は上位を占めており
ロシア選手の目立った選手は不在だった。

そのもどかしさに加えて、現行の基礎点、演技項目の
加点、減点システムになってから、自己が持っていた
世界最高得点を先の4大陸選手権で
日本の高橋大輔選手に更新されたのも一因かもしれない。

果たして2年のブランクを取り戻せるのか?
あの豊かな表現力と正確無比なジャンプは甦るのか?
2010年、バンクーバー冬季五輪で金メダルを狙う
高橋大輔選手に、立ちはだかる強大な存在になることは間違いない。

2008年2月18日月曜日

浅田真央 4大陸選手権初優勝

男子に続く、優勝。ダブルでの金メダルとなった。
女子の浅田真央選手の4大陸選手権での優勝である。

2007~2008シーズンで初のSP、フリー演技ともにの
完全優勝であった。

来月の世界選手権に向けて、いい自信になったはずである。
特にフリー演技での、トリプル・アクセルは
今シーズン一番の高さのある跳びとしっかりとした着氷だった。
ジャンプだけでなく、スピン、スパイラル、ステップともに
年々進歩を見せていて、総合での190点台後半は当たり前になってきた。

ぜひ、世界選手権で女子フィギュアの世界大会初の200点台の演技をみせてほしい。

そのために、今回気になったのが、SP、フリー演技両方で
3回転ー3回転のコンビネーションジャンプを回転不足とジャッジされたこと。
ほんの何分の一なのだろうが、この点は大事にして欲しい。
3回転ー2回転とジャッジされれば当然基礎点は低く抑えられるし
GOE(プラス点)も、もらえないからだ。

世界選手権にはキム・ヨナ選手も出てくるであろう。
今季に限っていえば、キム・ヨナ選手にはスキがない。
安定感のある演技になっている。
3回転ー3回転やダブル・アクセルからの3回転コンビネーションなど
難易度の高い要素でも乱れがない。

段々と調子を取り戻しつつある浅田選手とはいえ大きな脅威である。

3位に入った安藤美姫選手も一時の不調を乗り越えたようだ。
今回宣言していたとうりに4回転サルコウに2年半ぶりに
トライしたが、フリー演技冒頭での3回転ー3回転が乱れたことで
4回転サルコウは2回転でパンクしてしまった。

やはり、4回転をいれるという緊張感からなのかと思ってしまう。
これからの練習と負傷している肩、大腿部次第なのだろうが
世界選手権でも4回転サルコウにトライするかどうか
彼女自身とニコライ・コーチの判断が注目だ。
4回転を回避すると、浅田選手やキム・ヨナ選手との差は微妙なものになってくる。

2位に入ったカナダのジョアニー・ロシェット選手も調子を上げている。
ノーミスの演技なら、これまた表彰台候補だ。

今大会は10位と振るわなかった村主章枝選手だが
彼女自身がコメントしたとうり
『今季は一度全てをバラして積み上げている作業の最中』
との言葉を信じたい。

今季はジャンプでの苦労が見て取れた。
3回転ー3回転のコンビネーションを持つか、
5種類の3回転ジャンプを全てマスターするか、
2010年のバンクーバー五輪の代表決定時までに
村主選手らしい輝きを取り戻して欲しい。

今大会同様に、男女揃っての金メダルなるか?
世界選手権は大注目だ。

2008年2月17日日曜日

高橋大輔 世界の頂点へ

完璧な勝利だった。圧巻の演技であった。
一人だけ別次元の世界にいるようだった。

先日の4大陸選手権での高橋大輔選手のフリー演技である。
2位のバトル選手に30p以上の差をつけての優勝だった。
来月の世界選手権に向けて、大きな糧になったに違いない。

演技冒頭での4回転トゥループ。
そして、4回転トゥループに2回転トゥループのコンビネーション。
中盤での丁寧なスピンとサーキュラーステップ。

そして終盤。日本選手権では終盤にスタミナ切れを起こして
それが課題となったが、今回は乱れなく
後半の5連続3回転のジャンプを全て決めて見せて
ストレートラインステップへの盛り上がりに持っていった。

日本男子に、これだけ安定感のあるフィギュアスケーターの
いることをみせつけられて本当に感激した。

高橋選手、本人もいまのところ過信さえしなければ
ケガさえなければ世界選手権もいけると思っているに違いない。
またそれだけの自信に溢れた演技であった。

SP、フリー共に何の迷いも感じさせずに
風格さえ漂わせている最近の高橋大輔選手。

本当に世界選手権での日本男子フィギュア初の金メダルは射程圏内に入った。

2008年2月15日金曜日

今季世界最高得点!高橋大輔SP

現在、韓国の高陽で開催されている
フィギュアスケート4大陸選手権で
日本の誇る高橋大輔選手がSPで今季世界最高得点となる
88.57pをたたき出し、首位に立った。

2位にはエバン・ライザチェック選手(USA)84.06p
3位にはジェフリー・バトル選手(CAN)83.85pが入り
フリー演技に望むことになった。

この大会でもSPで4回転ジャンプを跳んだライザチェック選手を抑えて
高橋選手がトップに立ったことは大きい。

今季の驚くべき新境地への挑戦、
フィギュア界にヒップホップを取り入れるという試みと
そのプログラム、演技内容が完全なる評価を得たことが証明されたからだ。

今季初のお披露目となった、2007年秋のグランプリシリーズ第1戦
スケートアメリカでは、あまりの新境地の演技に
審判団が戸惑い、あまりに低い得点に抑えられた。

しかし、その後ヒップホップというリズムの中でのジャンプ
スピン、ステップなどが再評価されて、
それ以後は、高得点をたたき出している。
それに加えて、このプログラムを滑り込むことによる
演技の熟練、自信が好循環となり
大会ごとに高得点を得ることにつながっている。

フリー演技では、おそらくライザチェック選手との一騎打ちになろう。

グランプリ・ファイナルの時は
ステファン・ランビエール(SUI)選手を含む3つ巴の争いだった。
SPで1位発進の高橋選手をSP2位のランビエール選手がフリー演技で
僅かの差での逆転勝ちを収めた大会であった。
そのとき、ライザチェック選手は3位。

その差は、4回転ジャンプの力強さとスピンでのレベル評価。
4回転の着氷時の乱れによる差と
スピンでのランビエール選手の完成度、レベルの差が
高橋、ライザチェックの2人を上回ったのだ。

もともと、ランビエール選手のスピンには、以前から定評が高い。
その姿勢、ポジションの保持、回転速度など
現在世界最高レベルである。

しかし、高橋選手にも世界一と称されるステップワーク、エッジワークがある。
細かく、正しく刻むそのステップは見事の一言に尽きる。

あとはスタミナの問題だろう。
高橋選手のステップもスケートの流れや速度に乗ってこそ
美しく、高い評価が得られる。

フリーでの4回転ジャンプの後の流れを切らさないことだ。
まして、4回転ジャンプを2回プログラムに入れると公言しているから
その後のスタミナとステップ時のスピードに大きく影響するだろう。

4回転を2回とも高橋選手が転倒せずに跳べるのか?
ストレートラインステップ時に流れに乗っていけるか?

この2点にフリー演技の注目は集まる。
今回の4大陸選手権で金メダルを取れれば
来月の世界選手権でも金メダルを取りそうな予感がする。

世界の頂点まであともう一息。
高橋大輔選手の今季は世界に名を残すかも知れない。

2008年2月13日水曜日

新指標!第2の打率と防御率 3

第2の打率と第2の防御率という新たな指標を採用して、
能力のある選手のに市場価値の低い選手を獲得して
少ない投資で大きな効果を得てきた近年のボストン・レッドソックス。

その一方で、生まれた年俸総額の余裕の部分をスーパースターの獲得に生かした。
06年のジョシュ・ベケット投手。
07年の松坂大輔投手の獲得である。

しかし、いまさらながら松坂投手の獲得には
ポスティング入札金額に加えて年俸総額で1億ドルの資金を使った。
この資金はどこから出てくるのか?
そもそも球団経営の不振から現在のジョン・ヘンリー氏に売却されたのではないか?

ところが、現在のレッドソックスの収益は
ヘンリー氏が買った時の2倍の球団収益になっているという。
なぜ、そんな短期間に収益増の改善ができたのか?

それは、ヘンリー氏のオーナー就任と
同時に招聘されたチーム編成担当のセオ・エプスタインGMと
チームの営業面を担当するラリー・ルキーノ球団社長とのコンビネーションが全てである。
いままでも、いくつかの球団経営を立て直してきた実績のある
ルキーノ社長がまず手をつけたのはファンサービス部のスタッフ拡充であった。

世界の国々から来る、Eメール、手紙、
問い合わせ全てに迅速な変事を出すことにさせたのだ。

Eメールや手紙には『レッドソックスを応援してくれてありがとう』などの返信や
ガイドブックが欲しいとの問い合わせには
すぐさま送るなどの一番地味なところから手をつけたのだ。

次に手をつけたのは球場収入の部分だ。
ボストンのファンはNYよりも熱いといわれる。
しかし、本拠地のフェンウエイ・パークはメジャーでも最古に近い球場で、
収容人数は、3万5千人ちょっととかなり少ない。

そこでルキーノ社長が目をつけたのが球場の象徴でもあるグリーンモンスター。
左翼に高くそびえる、グリーンモンスターに観客席を作ろうと考えたのだ。
これには当初、かなりの反対意見が合ったと聞く。

しかし、結果は大成功。
高くそびえる、球場の象徴でもあるグリーンモンスターは
絶好のホームランのキャッチゾーンだ。
約250席作ったこの席にプレミア価格をつけたのだ。
いまでは常に完売。この席から売れていくという状況だ。

次に行ったのが、ファンサービス。
アメリカはプロ・スポーツ選手に対する憧れ、尊敬の念は日本の比ではない。
大人も、子供もだ。
ここにルキーノ社長は目をつけた。

レッドソックスの打撃練習時にグラウンドの一部分に
子供連れのファンが入れるというサービスを打ち出した。
その際に連携を取ったのが、エプスタインGM。
選手のほうから、積極的にこの親子連れのファンに声をかける、
サインをする、ボールをあげる。グッズをあげるなどを徹底させた。

自らが子供の頃を思い出せば分かるだろう。
地元のチームの憧れの選手が本当の目の前にいる。
サインやボールをもらえるのだ。

親子連れのファンの喜びようは尋常ではないと聞く。
子供より親の方が感激することもあるようだ。こ
のプレミア・チケットは2人で2万円、3人で3万円と聞くが
それでも跳ぶように売れるのだそうだ。

こうして、少ない観客席にプレミアをつけて収入増を図る。
チームは効果的に補強をして強くなる。
ファンは喜び、熱くなり球場へ足を運ぶ。
見事なまでの好循環でレッドソックスの収益は改善した。

さらには、日本のツアー会社や航空会社に
ボストンへの直行便の定期就航を働きかけてもいるという。
当然、日本人ツアーを見込んでだ。

さらにはいち早く中国へも出向き、選手発掘やファン獲得に動いているという。

このような営業面での努力で収益増があれば
固定観念にとらわれない選手の能力の見極めで
更なる補強を資金面でも余裕を持ってできる。

ヘンリー・オーナーを軸としてエプスタインGM、ルキーノ社長の
3人の手腕でレッドソックスはよみがえり、常勝球団に君臨しようとしている。

2008年2月12日火曜日

新指標!第2の打率と防御率 2

第2の打率=(塁打数ー安打)+四死球+盗塁

という今までにない指標を取り入れて
野手の獲得、補強に生かして成功したレッドソックス。

投手にも新たな指標を見つけ出した。

それが第2の防御率である。投手の防御率というものは

(自責点/投球回)×9

で算出される。

1試合あたり、何点で抑えられるか。
この数字が投手の能力を比較する指標とされてきた。
が、レッドソックスは、この数字はバックの守備陣の守備力に左右される。
いわゆる、記録に残らないエラー、見えないエラーに左右されると
過去のデータから統計的に導き出した。

そこで注目したのが、三振数と四死球の数。
三振の取れるキメ球を持ち、コントロールを兼ね備えた者。
これが、投手の能力を客観的に示す指数だと考えるに至ったのだ。
そして、考え出した新たな指標が

第2の防御率=三振/四死球

である。

この指標を採用した成功例の最たるものが岡島投手の獲得、成功である。
レッドソックスが岡島投手に着目したのは04年。
当時、巨人軍に在籍していた岡島投手は三振は取れるものの、
コントロールに難があるとして日本では高い評価ではなかった。
事実、防御率は4点台後半。

しかし、第2の防御率でみると3点台。
MLB投手平均の2.0をこの時期で上回っていたのだ。
この第2の防御率は数字が高いほどいいとされる。

そして、06年に北海道日本ハムに移籍した岡島投手は、
コントロールの改善に成功してセットアップとして優勝に大きく貢献、
このシーズンの第2の防御率は4.50まで上がっていた。

その年のオフに岡島投手がFA宣言すると
いち早くレッドソックスが、獲得に乗り出した。
提示額は2年契約で約3億円。
岡島投手にとっては、大幅なアップ提示でも
MLBのセットアップマンの平均よりも半分なのだ。

結果は大成功。
07年のワールドチャンピオンに大きく貢献してファンが選ぶ、
MLB最優秀セットアッパーにも選出された。

低い投資で高い結果を得たレッドソックス。
そして、大塚、斉藤隆、岡島の3投手による日本人リリーバーの成功が
今年の日本人リリーバーのMLB大量獲得に影響しているのは間違いない。

そして、小林雅、薮田、福盛の3投手ともに
日本時代に比べれば大幅アップでもMLBからみれば、低い投資額なのだ。

黒田投手、福留選手も年10億単位の年俸でも
日本時代と同じ成績を残すことが出来れば
そのレベルの選手よりも、若干低い年俸なのだ。

では何故、これほどの年俸を出せるのか?MLB球団の収益はどうなのか?

明日はこの点について触れる。

2008年2月11日月曜日

新指標。第2の打率と防御率 1

先日、面白い特集をやっていた。
何故、今MLBが日本などの東アジアに注目してスカウトを派遣し、
マーケットを意識しているかを解説していた。

その中で、面白い指標を紹介していた。
それが、第2の打率と第2の防御率である。

今日はそのうちの第2の打率について触れてみたい。

打率というのは、安打数/打数である。
そして、出塁率というものがあるがそれは、安打数+四死球/打席数である。

さらに、MLBの野手の評価項目として重要視され有名なものは5ツールスである。

アベレージ、パワー、スピード、フィールディング、スローイングこの5つのことである。
いいかえれば、打率、長打力、走力、守備力、強肩となる。
この5つ、全て兼ね備えていれば超Aランク。
あとはこのうちいくつその選手が持っているかでその選手の評価をするわけだ。

しかし、現状はそんな選手は数えるほどしかいない訳で
どの部分に優れた選手が自チームにフィットするか
長期的に、戦略的に見ていくのが球団GM、フロントの仕事になる。

打率よりも出塁率を重視し、
パワーよりもフィールディング、スローイングを重視して
限られたチームの編成予算で強いチームを作っているのが
オークランド・アスレチックスでありそのGM、ビリー・ビーンはつとに有名である。

毎年のように主力選手が流出するが、
生え抜きやトレードで獲得した若手を短期間に育成して戦力とし、
それを繰り返して強豪チーム、人気チームのひとつになっている。

さかのぼる事、6年前。
ボストン・レッドソックスが新オーナーに買収された。
現在のヘンリー・オーナーである。

そのときに、フロントは総入れ替えとなり、
球団の編成担当になったのが、現GMのエプスタイン氏。

そのときに、チーム再編の鍵になったのが第2の打率である。

これは、塁打数から安打を引き、これに、四死球と盗塁を足して、打数で割ったものである。

(塁打数-安打)+四死球+盗塁/打数。

これが、最も打者の能力を表す指数として採用したのだ。

過去の膨大なデータからいろいろな算出方法を試みこの指標を生み出したのである。

平均的な選手だと、この第2の打率と通常の打率との差はあまりない。
が、中には打率より、第2の打率のほうが大きく上回る選手がいるのである。

これをベースに獲得されたのがオルティーズ選手だった。
それまでに在籍していたツインズでは
打率の低さからそれほどの評価ではなかった。
しかし、第2の打率から、その能力を評価したレッドソックスが獲得に動き、
さらにオルティーズ選手の才能が開花して
ラミレス選手とのメジャー屈指の3,4番コンビが出来たのである。

さらに、3塁手のローウェル選手の獲得など
この指標をもとに現在の野手陣は構成されている。

たくさん出塁して、たくさんの得点能力を持つ。
市場の価値の中で低くとも、能力のある選手を獲得する。

この指標を採用してからのレッドソックスの躍進は見てのとうりである。
破壊力のヤンキースよりも、ソツのないレッドソックスが
この6年で2度のワールドチャンピオンに輝いていることが
この指標の正しさと価値観を証明している。

明日は、投手の第2の防御率について触れる。

2008年2月7日木曜日

キム・ヨナ棄権!

今月の13日から、韓国、高陽で開催される
4大陸選手権に、韓国のキム・ヨナ選手が出場しないことがわかった。

持病となりつつある腰痛による棄権だという。
状態はかなり悪く、まったく練習も出来ていないとのことだ。

『韓国民の妹』 『韓国の至宝』とも言われるキム・ヨナ選手。
自国開催の4大陸選手権は、出たかっただろうと思う。
また、韓国のフィギュア・ファンもそう思っているに違いない。

しかし、3月には世界選手権が待っている。
こちらになんとか間に合わせるための棄権とみるのが相当だろう。

昨年もこの時期に腰痛を起こして、練習ができずに
世界選手権で、SP演技はなんとかこなして、トップにたったが、
翌日のフリー演技では、練習不足からのスタミナ切れで
後半にミスを連発して、無念の3位となっている。

この昨年の世界選手権でワン・ツーを取ったのは
ご存知のとうり、安藤美姫、浅田真央の両日本人選手だ。

今季はいままで両人ともに、同じ競技会で、SP、フリー演技ともに
必ずしも納得のいく演技はできていない。
SPかフリーのどちらかでミスを起こしている。

いまは、その修正の最中であろうし
年も変わって心気一転の意気込みの部分もあろう。

キム・ヨナ選手にもできれば、万全の状態で出てきてもらい
ハイ・レベルでの世界選手権の演技、対決を見たいと思う。

今月の4大陸選手権、日本からは安藤、浅田、村主の3選手が出場する。
そのときの演技にも、もちらん注目だ。

2008年2月4日月曜日

ベテラン 村主章枝にエール

今月2月に、フィギュアスケートの4大陸選手権がある。

日本からは、浅田真央、安藤美姫、村主章枝の3選手が出場する。

村主選手は、昨年の日本選手権で4位となり
3月の世界選手権の代表にはなれなかった。
この4大陸選手権が2007~2008シーズンの締め括りの大会になる。

ここまで、女子のフィギュア界を
荒川静香選手(現プロ)と共に牽引してきた村主選手。
いまや日本では現役最年長の27歳になった。

トリノオリンピックで金メダルに輝いた荒川選手が脚光を浴び
若手の浅田、安藤の2選手に注目が集まる中
黙々と自分の演技にこだわりを持って競技生活を送る
村主選手にはまだ、このままで終わって欲しくない。

いまの、ジャッジシステムでは3回転ー3回転を跳ばない
村主選手には不利な面がある。
また、彼女得意の高速アップライトスピンも
その速さは加点の対象にならない。

そして、ループジャンプを苦手としていて
ここ数年は公式戦で跳んでいない。
やはり、まんべんなく、5種類の3回転を跳んで、
アクセルジャンプをこなさないと今のシステムでは技術点が稼げない。

しかし、難易度の高いルッツ、フリップのジャンプはこなせるし
3回転フリップからの2回転アクセルのジャンプシークエンスを持っている。

そして
『氷上の女優』 『情熱の演技』 『土壇場の村主』といわれる所以の
演技、表現力の村主ワールドがあれば、
まだまだ、世界と互角以上に戦えると思っているのだ。

グランプリファイナル優勝や、世界選手権銀メダルの実績を持つ
村主選手の演技はまだまだ見ていたい。
世界と戦っている姿を見たいのだ。

記憶に残る村主選手のスケートには、演技プログラムには
彼女でしか出せない魅力がある。

2010年のバンクーバーに向けて
今回の4大陸選手権で、浅田、安藤の若手2選手の向こうを張って
村主選手ならではの演技を見せて欲しい。
そして、願わくば表彰台に上がって欲しい。

2008年2月2日土曜日

驚愕の全米チャンピオン 女子フィギュア

3月の世界選手権の出場権をかけての
フィギュアスケートの全米選手権で
女子フィギュアでがなんとMirai NAGASUが優勝してしまった。
いや、してしまったは失礼か。

しかし、驚愕の結果である。
両親共に日本人ではある、Mirai NAGASUだが
アメリカ生まれのため、アメリカ、日本と国籍は両方持っている。
いわば、日本からの出場も可能なのだが、
本拠地がアメリカでは致し方ない。

しかし、まだまだ、全米チャンピオンは先だと思っていたし
できることなら、日本からの出場を考えて欲しかったが
もう無理となってしまった。
もう、アメリカスケート界が手離さないことは確実だからだ。

しかし、いきなり、キャロライン・ザン、キミー・マイズナーを抑えての
チャンピオンには重ねて言うが驚きだ。
ぜひ、そのときの演技を見てみたいものだ。

これで、浅田真央、安藤美姫、キム・ヨナの3強と見られていた
世界選手権は、Mirai NAGASUも加えての4強になるやも知れぬ。
日本人同士が、違う国を背負って勝負するのは
なにか、忍びないものもあるが。。。。

以前、クリスティーナ・ヤマグチという選手がいたが
名前のとうり、ハーフだった。
生粋の日本人でアメリカからの出場選手は初めてではなかろうか?

とにかく、3月の世界選手権にまた注目の選手が加わったことになる。
メダルの行方やいかに。。。?